『探偵~哀しきチェイサー』の稽古はとりあえず無事に始まった。
あと二日で、第一クール終了。
考えてみれば、去年の10月以来、半年ぶりくらいの現場である。
だから稽古場に入っても、ちょっとカンが狂ってるというか、素人さんに戻ってるというか、「あれ?稽古っていつもどうやってたっけ?」なんて思う。
バカ、何年やってんだって話だが。
でも、こういうのってそうなのよな。
台本書くって仕事も、何ヶ月ぶりかで「さて今日から執筆期間」ってなると、なかなかカンが取り戻せなくていつも苦労する。
ていうか、台本書く仕事自体にいまだに慣れないとこがあって、毎回毎回、前はどうやって書いてたっけ?とかホンマに思うのよ。
ダメじゃん。
つくづく、プロじゃないじゃん。
と、ま、愚痴はここまでにしとく。
この何年間かずっと同じこと書いてるしな。
で。
昨日久しぶりに実家の父親から電話があって、その用件がなかなかふるってたって話だ。
いきなりだが、
東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる
って有名な歌があるじゃんか。石川啄木の。
「この下の句の蟹とたはむるの蟹は、蟹行文字の意で、つまりは横文字という意味だとおまえ知っとったか?」というのだ。
「泣きながら蟹つついてるだなんて、何とめめしい歌で、いったいどこがいいんだとかねがね思ってたが、戯れに砂浜に横文字を書きつけているという歌なら、何だか良い歌のような気がする」と。
それで、「オレはこの年になって初めて知ったのだが、それは世間的には常識なのか?」という質問が用件だったのだ。
何言ってんだよ、そんなの常識じゃん。なあ?
うそ。
オレも知らなかった。
そうなんだ。へえー。
オレもずっと「泣きながら蟹と遊ぶ」という歌だと思っていた。
内心で「この歌超有名だけど、何だかなぁ」とずっと思っていたのだ。
はい。
中学高校で国語の授業を真面目に受けてないと、こういうことになります。
そんな人間が石川啄木の登場する芝居を書いてていいわけはないのだが、しょうがないじゃん。
もう書いちまったんだし。
それも十五年も前の話だし。
それで、ま、ロックンロール・ウィドウのこともあったし、オレは心の底から
「人間長く生きてると、いろんな謎が解けるものだねぇ」とか何とか言って電話を切ったのだった。
父子で同時期に似たような感慨にひたったので、ちょっと書いてみた。
ロックンロール・ウィドウよりは、やや格調あるか。
そうでもないか。
どっちもどっちやな。
マキノ父子にダメの烙印!