『ぼんち』稽古場は一昨日で終了。
とにかく稽古場でできることはすべてやった。
結果、芝居はかなり面白くなったと思う。
今回の沢田さんの芝居は素敵ですぜ。
とくに今年の東京公演はサザン・シアターだしね。
いわば普段オレらのやってるフィールドなので、前回の池袋の芸術劇場よりも間近に見られて、特に沢田さんのファンの方々は必見なんじゃないでしょうか。
で、昨日は劇場仕込み初日。
いつも言ってるけど、この日は好きな日なのよ。
演出家としてはとりたてて仕事のない日なんだけど、舞台美術や照明など、やっと本番と同じものが見られるので、わくわくするのよな。
奥ちゃんの舞台は相変わらず美しいしな。
ま、まだまだテクニカルでの課題は山積みで、でもって残された時間はギリギリであって、確実に今日からはアップアップの日々となるんだけどな。
ま、がんばるわ。
ところで、例によって話はまったく変わるわけだが。
どんな人間にも日常生活の中で好きなこと苦手なことがあると思うんだが。
ちなみにオレの場合、掃除はあんまりしないのだが、掃除そのものはそんなに嫌いではない。
洗濯もそうだな。
洗濯機でガーッとまわして干すなんてのはそんなに嫌いじゃない。
取り込んで畳むのはあまり好きじゃない。
ま、たいした話じゃないがな。
で、そんなオレが幼少期から苦手意識を持っていたものにトイレット・ペーパーの交換というものがある。
初期のトイレット・ペーパーのホルダーは芯の部分が木製で、内部にスプリングが仕込まれたもので、これがねぇ、けっこう子どもには面倒くさくて大変だったのよ。
その後、芯がプラスチック製になってからもまだまだ面倒くさい感じがした。
だから、今のようにワン・タッチで交換ができるホルダーが生活に導入されたときには「うほほい」と誰よりも喜んだものだったが、それでも今でもその苦手意識の名残のようなものがあるのよ。
そこでだよ。
訊くけどさ。
自分がトイレで紙を使用した時に残りが少なくなってたら、どう考えてもあと一回ぶんにはココロモトナイ量だとしたら、きみはどうする、きみはどうするか、きみは。
そのままにして出るか?
それは人間としていかがなものかだろう。
ここはやはり次の使用者のために交換して出るだろう。
もちろん、オレも交換して出る。
だがな。
考えてみてくれ。
オレは人一倍トイレット・ペーパー交換に苦手意識を抱いている男だぜ?
これって、ちょっとエラくね?
アホか。
エラかないよ。
まったくエラかない。
うん。
それはわかってんだ。
だがなぁ。
何か、誰かにちょっと誉められたい気持ちもあるのよなぁ。
それでな。
あのトイレット・ペーパーのバージンのやつって紙の端が糊付けれてるじゃんさ。
あれをな。
破らずにそのままにしちまうのよな。
つまり、次の使用者に「お!」と思ってもらいたいわけよ。
「お!誰だか知らんが、前に入ってた人は自分が使うためにではなく、次に使う人のためにペーパーを交換していったのだな。うむ、きちんとパブリックなマインドを持った男だ。エラいなぁ」と、まぁ、そんなふうに思ってもらいたいということなんだよな、これは。
うーむ。
意識しすぎか。
でもな。
だからこそ、いっとうエラいのは、苦手なペーパー交換をして、なおかつ最初の糊付けをぺリリとはがして、次の人にそんな余計なことを感じさせないという、そこまでの気配りなのだ。
ねぇ。
それ、わかっちゃいるのだが、なかなかそこまでできないのだよなぁ。
まだ評価されたがっているか…。
オレの煩悩よ…。
ああ…。
人間ちっちぇーなー…。
喝だッ!