マキノノゾミのブログ
by mop-makino
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▼ 忘れていたお宝。
オカモリくんのブログに触発されて、ビートルズからみの話をひとつ。
去年の11月頃だったか、何とかっていうウェブ・マガジンの取材を受けたのさ。
なんか「わたしにとってのビートルズ」みたいな話で。
あはは。
そんなんなぁ。
オレでええんやったら何ぼでも語ったるわ!ってんで喜んで出かけてったわけだが、何かね、「マキノさんの持ってるビートルズ関連のお宝も撮影したいので持参してください」って言われてさ。
これには困ったねぇ。
そんなん持ってないって。
ジョンやポールの直筆サインとか、ビートルズが使用した楽器のピックガードの破片とか、そこまで行かずともオデオン盤の旧いLPとか…ま、持ってる人は持ってるんだろうけどさぁ。
そういや。
京都の百万遍に「RINGO」っていうビートルズ狂いのスナックがあるんですが(そうとしか言いようのないお店です)、そこの壁には額に入ったビートルズ武道館公演の入場券(未使用)が飾られていて、麗々しく「店宝」って書かれてたなぁ。
店宝ってあなた、そんな言葉はないわけだが気持ちはわかるぞ。
そんなもん持ってりゃオレだって大得意で持参するところだが、あいにくそんな気の利いた(大それた)モノは何も持ってない。
それで、ま、『サージェント・ペッパー』の初期のアップル盤(帯にまだ「オール最新曲!イギリスと同時発売!」と書かれてあるやつ)なんかを持って行ってお茶をにごしたわけなんだが。
でもさ、これって別にお宝というほどのこともないわいな。
肝心の音楽自体は現在でも誰にでも入手可能なわけだしね。
で。
後から考えたら、これ持ってきゃよかったなって思えるものがひとつだけあった。
それは、シンコーミュージックから出てたB6判の岩谷宏『ビートルズ詩集』。
たしか中二か中三くらいの頃に買ったのだと思う。
当時ビートルズの全詩集は角川文庫から片岡義男訳のものが出ていて、それが決定版みたいなことになっていたのだけど、正直あまりピンとこなかったのね。
ほとんど直訳ということだったけど、意味がよくわからなかった。
今にして思えば、単純に訳がヘタだったんだけどね。
そこへ行くと、この岩谷宏訳はずいぶんユニークなくだけた調子の意訳ばかりで、単純に面白かったのだ。
たとえば『オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ』のこんな出だし。

「世の中は四次防だなんだとうるさいけど
 愛とは
 もともと
 完全な無防備
 世界にいちばん必要なもの
 そして
 世界にいま
 いちばん欠けているものは
 愛
 愛こそすべて」

なんて感じだ。
ね、ちょっとイイ感じじゃないすか?
いきなり四次防って何だよって感じで(笑)。
(ちなみに自衛隊の「第四次防衛力整備計画」のことね。70年代前半はこれをめぐってよく国会で喧々囂々の大騒ぎをしてた。うっすらと記憶があります)
あるいは『イフ・アイ・フェル』のこんな部分、

「むりな注文かもしれないけれど
 理解してほしい
 オトコゴコロというものは
 まことにせんさいなものであり また
 そんなに何度も何度も
 失恋の痛みに耐えられるものではないのです」

なんてのも素敵だった。
あるいは『ア・ハード・デイズ・ナイト』の、

「本日モ労働ハツラカリキ
 ワレ マサニ
 木偶ノゴトク眠ラントス
 サレド
 貧シキ我ガ家ニ
 愛シノ君待ツヲ知ラバ
 我ガココロ
 大イニ晴ルルナリ」

とかさ。
うん。
今読んでも名訳だと思う。
この岩谷宏って人は初期の「ロッキング・オン」(ロック雑誌ですね)の理論的指導者という気配の人だったのだけど、今はどうしてはんのやろうなぁ…。
後になって同じシンコーミュージックから岩谷訳のビートルズ全詩集も出たのだけど、こちらの方は出版社の要請か、意訳ではなく、ふつうの当たり前の訳に変わっていて、あまり面白くないので買わなかった。
とにかくこの風変わりな訳詩集は、たぶん今は絶版だと思うのね。
でも、この本によって、オレ個人はすごくビートルズが自分の身近な存在に変わったと思ってる。
前にもどこかで書いたかも知れないけど、ビートルズが世界にもたらしたいっとう大事なことは、新しいオリジナルの「モノの見方・考え方・面白がり方」だと思うのよな。
その意味で、この本はとっても「ビートルズ的」なモノだったのさ。
(当然ながら、ビートルズのことを扱った書籍の9割以上はビートルズ的ではない)
オレにとってはビートルズのレコードと同じくらいに意味のあるものだったわけだから、これをオレにとってのビートルズ関連のお宝と言わずして何としようってなもんさ。
長々書いちまったが、ま、そう思ったってだけの話さ。
ついでなんで、最後に『ヘイ・ジュード』の訳詩を引いておく。
オカモリくんのブログ読んで真っ先に思い出したのがこのページだったので。

「全世界のナヤメる男のコたちよ!
 これからかの有名なビートルズの
 ポール大明神が
 きみたちのナヤミの解決法を
 教えて進ぜるのじゃ、よく聞け。

 まず、世界を一人で背負って立ってるような
 気持ちを捨てたまえ。
 なるほど世の中には知的で冷静な連中がいて
 世の中をつめたく見ることでイキがっているようだが、
 そんなのはバカだよ。
 あるいはきみは、
 だれか仲間がほしいのかもしれないが、
 いちばんかんじんなことを教えてあげよう、
 それは
 《なによりもまず、
 きみ自身がなにかをおっぱじめること》
 とにかく、他人や外部に期待して
 いつまでもうじうじってのがいちばんよくないのだ。
 そして、寒い夜なんかは、
 好きな彼女のことでも想ってれば、
 けっこう、ホンワカしてくるもんさ。
 これでイイのだ。」 


はは。
いかしてるよね。
うん。
これでイイのだ。
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by mop-makino | 2008-02-08 00:14
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